「16時間断食」といえば朝食を抜くのがすっかり定番ですが、個人的にはずっと避けてたんですよ。というのも、「朝食抜きは胆嚢に負担がかかるんじゃないか?」という懸念があったからです。
それに、人間の体内時計(サーカディアンリズム)に関するデータをいろいろ漁っていると、「むしろ夜食べないほうが、人間の本来のリズムに合ってるんじゃない?」という研究も結構多いんですよね。
そこで今回試してみたのが、朝食ではなく夕食を抜く「eTRF(早期時間制限食)」です。
健康のためというよりは、「夜の食事というタスクを手放したら、翌朝の仕事のパフォーマンスと睡眠はどう変わるのか?」を検証するライフハックとして、自分の体を実験台にしてみました。
※あくまで私個人のN=1の実験記録なので、医療的なアドバイスではない点だけご了承ください。
「eTRF(Early Time-Restricted Eating)」ってなんぞや?という話ですが、ルールはめちゃくちゃシンプルです。
要するに、「1日のカロリーの大部分を、午後15時〜16時くらいまでに摂り切ってしまう」という食事法のこと。朝と昼はしっかり食べてOKですが、夕方以降は水やお茶だけで過ごし、内臓を完全にシャットダウンさせるわけです。
結論から言うと、人間の「サーカディアンリズム(体内時計)」の理にかなっているからです。
もともと私たち人類の祖先は、夜に明るいLED照明の下でステーキやラーメンを食べていませんでした。日が沈んだら休み、日が昇ったら活動する。そのため、人間の体は「午前中〜お昼」が一番食べたものをエネルギーに変えやすく(インスリン感受性が高く)できているんですよ。
逆に夜になると、体は「おやすみモード(メラトニン分泌など)」に入ります。そこで無理やり胃腸に食べ物を詰め込むと、体が「休みたいのに消化しなきゃ!」とパニックを起こし、結果として睡眠の質がガタ落ちしてしまう、というデータが山ほどあります。
朝食を抜く「16時間断食」の場合、お昼にドカンと食べることで胆嚢や胃腸に急激な負担がかかるケースもありますが、eTRFなら朝起きて自然なタイミングで食事を入れるので、そういった臓器への急なストレスもマイルドになります。
つまりeTRFは、「夜の消化タスク」を体から丸ごと削ぎ落とし、睡眠と翌日のパフォーマンスに全振りするためのテクニックと言えるわけです。
夕食を抜く生活(eTRF)を始めて一番驚いたのが、睡眠の質、特に「翌朝の目覚め」の劇的な変化です。
私はスマートウォッチなどの計測デバイスを使っていませんが、そんなガジェットがなくても、自分の体感だけで「あ、睡眠の深さが全く違う」と確信できるレベルの変化がありました。
具体的には、夕食をガッツリ食べていた頃と比べて、朝の体感がこう変わります。
- Before(夕食を食べていた頃):
- アラームが鳴ってもスヌーズを何度も叩いてしまう。
- 起きてから1〜2時間は頭にモヤ(Brain Fog)がかかっていて、カフェインを入れないと仕事にならない。
- 胃のあたりに「重だるさ」が残っている。
- After(夕食を抜いた現在):
- アラームが鳴る前、あるいは鳴った瞬間に「スパッ」と目が覚める。
- 起きた瞬間から頭がクリアで、すぐにトップギアで作業に入れる。
- 体が軽く、前日の疲れが完全にリセットされている感覚がある。
人間の体は、良質な深い睡眠に入るために「深部体温(体の中心の温度)」を下げる必要があります。
しかし、夜遅くに食事をして胃に食べ物が入っていると、それを消化するために内臓が熱を持ち続け、体温が下がりきりません。これってPCで例えるなら、「画面はスリープ状態になっているのに、裏で重いシステムのアップデート処理がずっと走り続けている状態」と同じなんです。当然、ファンは回りっぱなしで本体は熱くなり、ちっとも休まりませんよね。
夕食を抜いて「夜の消化タスク」をゼロにすることは、このバックグラウンド処理を完全に切り、脳と体を真のシャットダウン状態に持っていく最強のハックなんです。
ワードローブを黒とネイビーで統一したり、身の回りの持ち物を50個前後の必須アイテムまで削ぎ落としたりする「究極のミニマリズム」。その最大の目的は、日々の無駄な「決断疲れ(Decision Fatigue)」をなくすことですよね。
実は「夕食を抜く」というのは、このミニマリズムの概念を「食」に拡張した最強のライフハックなんです。
人間の「ウィルパワー(意志力)」は、朝起きた時がMAXで、決断を繰り返すごとに減っていくドラクエのMPのようなものです。仕事を終えた夜の時間帯は、このMPが完全に枯渇しています。
そんな疲弊した脳で、「今夜はすき家の牛丼にするか、マックでサクッと済ませるか、それとも何か作るか?」と悩むこと自体が、脳への多大なストレスになります。
夕食をシステムとして「食べない」と決めてしまうと、人生から以下のタスクが丸ごと消滅します。
- 「今日の夕飯、何にしよう?」と悩む時間(決断コスト)
- 店に寄ったり、調理したりする時間
- 実際に食べている時間(約30〜40分)
- 後片付け、食器洗い、ゴミ出しの時間
これらをすべて足し合わせると、だいたい1日あたり1.5〜2時間の「純粋な可処分時間」が生まれる計算になります。
夕食というタスクを手放したことで手に入った、夜の静かな2時間。この余白を、アプリ開発のコーディングやブログの執筆、あるいは読書といった「自分のための投資」に全振りできるようになったのが、夕食抜き(eTRF)の隠れた、しかし最大のメリットです。
夕食抜き(eTRF)のメリットは絶大ですが、当然ながら最初はキツい壁が2つあります。それが「夜の強烈な空腹感」と「人間関係(付き合い)」です。
私自身、この2つをどう乗り越えているか、具体的なハックを紹介します。
最初の3〜4日は、夜になると「腹が減って死にそう…」という状態になります。ただ、これって実は体が本当にカロリーを欲しているわけではなく、「グレリン」という食欲ホルモンが、いつもの食事の時間に合わせて分泌されているだけ(ただの錯覚)なんですよ。
グレリンの分泌は「波」のようなもので、ピークを1時間ほどやり過ごせば、スッと嘘のように空腹感が消えます。
【私の空腹対策ルール】
- 炭酸水を飲む: 胃が物理的に膨らむので、グレリンの波を散らすのに最強です。
- ノンカフェインのハーブティーを飲む: 温かいものをゆっくり飲むと副交感神経が優位になり、食欲が落ち着きます。
- 「これは単なるホルモンの錯覚だ」と脳内で実況中継する: (※マインドフルネス的なアプローチです)
1週間もすればホルモンの分泌サイクルが変わり、夜になっても全くお腹が空かなくなります。
もう一つの壁が、飲み会や会食です。例えば、職場のチームメンバーから「仕事終わりに軽くどう?」と誘われたり、大事なプロジェクトの打ち上げがあったりしますよね。
結論から言うと、「そういう日は普通に食べに行く(夕食抜きは休む)」が正解です。
完璧主義は習慣化の最大の敵です。1日や2日ルールを破ったところで、長期的なパフォーマンスには何の影響もありません。「1週間のうち、8割(平日5日)できれば合格」とする80/20の法則を採用してください。
【私の付き合い対策ルール(If-Thenプランニング)】
- もし(If)、夜の会食や飲み会が入ったら…
- その時は(Then)、普通に食事を楽しみ、代わりに翌日の「朝食」を抜いて胃腸を休ませる(16時間断食にスライドする)。
このように「例外時のルール」をあらかじめ決めておくことで、決断疲れを起こすことなく、ストレスフリーで夕食抜き生活を続けることができます。
結局のところ、夕食を抜く(eTRF)最大の目的はこれに尽きます。夜の時間を削る代わりに、「翌朝のゴールデンタイムの質」を極限まで引き上げるための投資なんです。
朝起きた瞬間から頭にモヤ(Brain Fog)がなく、胃腸の重さもない。この完全にクリアな状態でカフェに直行してPCを開くと、ブログの執筆や重いコーディングといった「一番集中力がいるタスク」への没入スピードが段違いに跳ね上がります。
「健康のため」「ダイエットのため」と思うとハードルが高く感じますが、「明日の午前中の生産性をハックするためのシステム」だと考えれば、ビジネスパーソンにとってこれほどコスパの良い習慣はありません。
とはいえ、いきなり毎日やるのは挫折の元です。まずは「週末の前の日だけ、夕食を抜いてみる」といったスモールステップから、ご自身の体とパフォーマンスの変化を実験してみてください。よしなに。

